◆◇━━━━━◇◆ 心と体のリハビリテーション研究会 ◆◇━━━━━◇◆        〜*−*〜 KOKO-KARA Information 〜*−*〜              第42号:2013.11.4       〜 慢性疼痛と呼吸 ─横隔膜呼吸について─ 〜            http://www.koko-kara.info/ ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇   「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信を  希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。 CONTENTS〈目次〉───────────────────────────  ■ 慢性疼痛と呼吸 ─横隔膜呼吸について─  ■ Spine Dynamics 療法研究会が発足しました  ■ Spine Dynamics 療法特別研修会  ■ 心と体のリハビリテーション研究会の facebook を始めました!  ■ 求む! 特別研修会 地域世話人  ■ 編集担当者からの一言 ───────────────────────────────────        ■ 慢性疼痛と呼吸 ─横隔膜呼吸について─ ■ ───────────────────────────────────   正常な安静呼吸では吸気時に横隔膜、傍胸骨肋間筋群、斜角筋群の周期的  な活動がみられ、肺と胸壁への弾性収縮力によって他動的に呼気が起こりま  す。息を吸う(胸腔を広げる)ためには、肋骨を開き広げるか横隔膜を収縮  させることが必要です。特に横隔膜は収縮させると、胸腔が変形し腹部が前  方へ突き出ます。これが腹筋群をはじめとする全身の筋肉の弛緩を促します。  また、横隔膜は体性神経と自律神経の二重支配を受けています。これは自動  的に動きながら、かつ意思の力の支配も受けることを意味します。横隔膜の  下面は胃、腸、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓に接しており、上面は心臓と肺に接  しています。このように横隔膜は、意識的に収縮することによって最重要臓  器を直接マッサージできる位置にある筋肉であることから、様々な健康法等  に結びついています。   物理的ストレス(体力低下による抗重力筋弱化・荷重関節機能障害)によ  る交感神経機能が優位な環境に至る慢性疼痛疾患は、交感神経活動異常によ  る安静時筋緊張が亢進するとともに、呼吸は浅くかつ速くなり吸気が強調さ  れ換気効率低下に至る可能性があります。また、横隔膜は収縮することによ  って骨盤底筋の活動が調節されることが知られています。これは、横隔膜の  収縮不全が生じると IAP(腹腔内圧)が低下することと関連し、その結果腰  椎骨盤安定性が阻害され腰部自体の疼痛や上肢、肩関節にまで悪影響を来た  す原因となってしまうことが考えられます。また、慢性痛の代表でもある腰  痛を患っている患者では特に腹斜筋群の過活動が生じており、吸気における  胸郭の挙上と胸腰椎の伸展の可動性に制限を来たし、さらには腹横筋のコン  トロールも不良となっていることが最近の研究で報告されています。   以上のことから、慢性痛患者に対して呼吸トレーニングを行う際は横隔膜  呼吸を重点的に行うことが必要と考えられます。まずは横隔膜呼吸を確立し、  腹斜筋群の活動を抑制させ、胸郭の可動性を確保させることで、腹横筋の収  縮を促すことができれば、全身のリラクセーションが促され、最終的に慢性  痛における交感神経活動異常の抑制や腰痛の予防にもつながるのではないか  と考えられます。そこで最後に横隔膜呼吸の方法を紹介したいと思います。  ●横隔膜呼吸の方法●  (1) まず、5秒間で空気を胸一杯に吸い込みます。    ↓  (2) 次に、息を5秒間止めます。    ※ここが慣れるまでは最も難しいところであり、最も大切な時間です。     息を止める際に力んでしまうようであれば、あまり力まずに、一瞬     だけ止めるように行ってください。また、この時に肛門を締めます。    ↓  (3) 最後に、10秒かけて鼻からゆっくり吐いていきます。    ※肛門を締めながら下腹部を膨らましていくように息を吐きます。     イメージとしては排便の際に力むような感じです。この時、腹部が     膨らんでいることを確認してください。  〜全体的なポイント〜   高齢者や呼吸器疾患を仰せ持つ慢性疼痛患者は、胸郭の硬さ(拘縮)によ  って深吸気がうまく行えない場合があります。その結果、吸気・呼気の時間  を気にするがあまり、背部周囲の筋緊張(胸式呼吸様)を助長してしまう場  合があります。このようなケースの場合は、時間を気にせず腹式を意識して  いただくよう指導してください。 ───────────────────────────────────       ■ Spine Dynamics 療法研究会が発足しました ■ ───────────────────────────────────   心と体のリハビリテーション研究会の姉妹研究会として、Spine Dynamics  療法研究会(Spine-ken:スパイン研)が発足しました。   KOKO-KARA 研究会主催の特別研修会の内容を臨床現場で活用し易くするた  めに、より具体的な手技と手法を研究し、その成果をセミナー形式で普及い  たします。   是非、KOKO-KARA研究会同様、スパイン研もよろしくお願いします。   スパイン研公式Facebookサイト   http://www.facebook.com/spineken ───────────────────────────────────          ■ Spine Dynamics 療法特別研修会 ■ ───────────────────────────────────   慢性疼痛疾患に対し、多くのセラピスト達が「患部のみの治療では完治し  ない」と感じているのではないでしょうか。世界的にも、慢性疼痛に対する  客観的評価法及び保存治療法はいまだ確立されておらず、現場では対症療法  が中心にならざるを得ません。   そこで我々は、患部を何らかの機序で発生した『結果』と捉えることで、  真の慢性疼痛疾患治療が実践できることを提唱します。慢性疼痛疾患の治療  では、身体のメカニカル及び反射的な両要素の因果関係を解き、根因となる  問題点を改善する必要があります。   本講演では、筋出力(作用力)と反作用力を緩衝する脊柱弯曲機能の関係  を、実技デモや多くの動画を用いて、分かりやすく説明します。  ◇ 会場・期日   福 岡:11月16日〜17日 福岡リハビリテーション専門学校   広 島:11月23日〜24日 医療法人社団飛翔会 寛田クリニック   豊 橋: 1月12日〜13日 豊橋整形外科向山クリニック   熊 本: 1月26日    介護老人保健施設ケアセンター赤とんぼ   北九州: 2月 8日〜 9日 小倉リハビリテーション学院  ◇ 内容の詳細・お申し込みはホームページで!    http://www.koko-kara.info/kensyukai/  ◇各会場ともお申込みが大変多くなっています。   受講がお決まりの方は、お早めにお申込みいただくことをお勧めします。 ───────────────────────────────────   ■ 心と体のリハビリテーション研究会の facebook を始めました!■ ───────────────────────────────────   心と体のリハビリテーション研究会の facebook サイトでは、各種講演会  ・研修会のお知らせやその様子をタイムリーに発信しています。   また、研究会ホームページ(掲示板)に書き込めないつぶやきや、ちょっ  とした質問など、どしどしご投稿ください。    facebookサイト http://www.facebook.com/kokokaraken ───────────────────────────────────          ■ 求む! 特別研修会 地域世話人 ■ ───────────────────────────────────   この度、「心と体のリハビリテーション研究会」では、「姿勢制御アプロ  ーチ」講演会にご参加いただいたみなさまからのご希望により、ご要望に応  じた「特別研修会」を実施することになりました。   そこで、研究会事務局では、上記地区の研修会と同じような企画をしてい  ただける地域世話人を募集いたします。   地域世話人募集に関する詳細はホームページをご覧ください。   http://www.koko-kara.info/kensyukai/sewanin.html    ───────────────────────────────────            ■ 編集担当者からの一言 ■ ───────────────────────────────────   今回は、慢性疼痛と呼吸の関係性についてご紹介しました。   呼吸は我々人間が生きていくためには必要不可欠な活動です。この呼吸運  動を阻害する要因があれば、生命維持にも問題が生じる可能性があります。  『痛み』を患っている患者様は、上記で説明したように交感神経活動異常に  より安静時筋緊張が亢進し、換気効率低下に至っている可能性があります。   今回紹介した横隔膜呼吸は、患者様の呼吸機能を評価、治療できる手法で  あるので是非、今後のアプローチの一貫として取り組んでみてください。 **********************************************************************      − 最後までお読みいただきありがとうございました − 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信  を希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。   ※バックナンバーはホームページに掲載しています。    今後,このようなメールの配信が不要な方は、お手数をおかけしますが、  タイトル欄に「配信不要」とご記入の上、返信してください。  また、アドレスの変更等がございましたら、その旨ご連絡ください。       発 行 : 心と体のリハビリテーション研究会       e-mail : info@koko-kara.info       URL : http://www.koko-kara.info/ *********************************************************************