◆◇━━━━━◇◆ 心と体のリハビリテーション研究会 ◆◇━━━━━◇◆        〜*−*〜 KOKO-KARA Information 〜*−*〜             第24号:2011.11.27          〜 CRPS(複合性局所疼痛症候群)〜            http://www.koko-kara.info/ ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇   「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信を  希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。 CONTENTS〈目次〉───────────────────────────  ■ CRPS(複合性局所疼痛症候群)  ■ 姿勢制御アプローチ 沖縄特別講演会 参加者募集中!  ■ Spine Dynamics 療法特別研修会 続々開催決定!  ■ 求む! 特別研修会 地域世話人  ■ 編集担当者からの一言 ───────────────────────────────────          ■ CRPS(複合性局所疼痛症候群)■ ───────────────────────────────────   今回のテーマは、難治性疾患である複合性局所疼痛症候群についてお話し  ます。   複合性局所疼痛症候群:CRPS(complex regional pain syndrome)は、主  にカウザルギーと RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)に分類されます。   カウザルギーは、末梢神経の不完全損傷によって生じる強度の疼痛(灼熱  痛)であり、RSD は主要な末梢神経の損傷がなくても生じるカウザルギーと  同様の疼痛とされています。整形外科領域でもこのような症状を呈する患者  様が通院していることもありますが、多くはペインクリニックへの受診が多  いようです。   しかし、このようなCRPS症状に至る過程までは、整形外科領域でフォロー  している場合が多いのではないでしょうか。つまり、我々の評価手法、治療  手法が得てしてCRPSを招く恐れがあるといっても過言ではありません。   そこで、整形外科領域で対峙する機会の多いRSD/CRPS typeIの特徴を捉え、  理学療法士にできることを考えていきましょう。  1.整形外科領域における RSD/CRPS の捉え方   RSD は「異常な交感神経反射によって悪循環が形成される」というEvans  (1946)の節をアウトラインとして頻繁に利用していましたが、国際疼痛学会  (IASP)が定義したCRPS typeIの機序は、必ずしも交感神経系の異常に起因し  ているものではなく、複雑且つ多岐に及ぶとして RSDをCRPS typeIへの病名  変更に至っていると考えられます。ということは、交感神経活動異常(異常  な反射)もありうるということであり、我々理学療法士としては、少なから  ず交感神経系に由来する発生機序を理解しておかなければなりません。  2.RSD/CRPS と交感神経活動異常   正常では、身体の一部に外傷を受けると、正常な交感神経反射によって四  肢の血管が収縮します。この反射は出血を止め、余分な腫脹を防ぐための必  要な正常反応であり、外傷の治癒とともにこの反射は消退します。外傷によ  る trigger 刺激が消失してもなお、RSD/CRPS の患者ではこの反射が消退せ  ず、継続して働き続けるため、交感神経亢進状態となります。   そのために末梢組織に局所的虚血(低酸素状態)が生じ、さらにそれが、  より強い持続的な疼痛刺激として異常な交感神経反射が作動することになり、  悪循環(vicious cycle)が形成され、RSD/CRPS の発症に至ると考えられて  います。  3.交感神経活動異常抑制の方法  (1) 自律神経コントロール    自律神経コントロールとして、ATトレーニングを推奨しています。ATト    レーニングを実施することで運動耐容能(最大酸素摂取量・無酸素性作    業域値)の向上→心機能向上→正常なリズムの自律神経機能回復を図る    ことができます。また自律神経リズムを測るための評価としても使用す    ることが可能です。(詳しくは2010年4月25日発行の第6号:ATトレーニ    ングをご参照ください http://bit.ly/rMEzlP)  (2) 過剰な安静を控える    近年では、CRPSの発生・進行のリスクファクターの1つとしてギプスや    スプリントなどを用いた患部の固定、すなわち不活動の関与が指摘され    ています。無痛範囲内での適度な運動を促していくことが重要だといえ    ます。  (3) 自己医療の確立    国際 RSD/CRPS 研究財団の標準治療法ガイドラインには「理学療法の最    終目標は、短期間で患者を医療システムへの依存から独立させることで    ある」と記載があります。患者のレベルが自己医療に向かっているかを    判断しながら、常に「気づき」を与えられる信頼関係を築いていくこと    が重要であると考えます。   CRPSの発生機序や病態についてはまだまだ仮説の段階であるため、画一的  な治療方法は無いものの、人間本来の環境やリズムを逸脱していることには  間違いはないと考えています。   まず、私たちにできることは、病態や症状にとらわれない全人的な医療を  提供することが最も重要なことだと思います。 ───────────────────────────────────     ■ 姿勢制御アプローチ 沖縄特別講演会 参加者募集中! ■ ───────────────────────────────────   沖縄特別講演会では「速効性のある機能改善手技」に焦点を絞り、Part1  の講師陣によるさらにパワーアップしたデモンストレーション検証実技をふ  んだんに踏まえ、これまでの常識を打ち破り、明確な効果を得られる治療手  法をご紹介いただきます。    参加した方々が検証実技からその理論を理解され、日々の臨床に生かせる  理論習得と意識の向上を目的としています。   この機会にぜひご参加ください。  ◇ 開催期日    2011年 2月 5日(日) 沖縄コンベンションセンター  ◇ 内容の詳細・お申し込みはホームページで!    http://www.koko-kara.info/kensyukai/okinawa/index.html       ☆ お申し込みは携帯電話からも可能です。     http://www.koko-kara.info/i ───────────────────────────────────      ■ Spine Dynamics 療法特別研修会 続々開催決定!■ ───────────────────────────────────       >> 福岡、豊橋、米子、宮崎、長岡で続々開催!<<   慢性疼痛疾患に対し、多くのセラピスト達が「患部のみの治療では完治し  ない」と感じているのではないでしょうか。世界的にも、慢性疼痛に対する  客観的評価法及び保存治療法はいまだ確立されておらず、現場では対症療法  が中心にならざるを得ません。   そこで我々は、患部を何らかの機序で発生した『結果』と捉えることで、  真の慢性疼痛疾患治療が実践できることを提唱します。慢性疼痛疾患の治療  では、身体のメカニカル及び反射的な両要素の因果関係を解き、根因となる  問題点を改善する必要があります。   本講演では、筋出力(作用力)と反作用力を緩衝する脊柱弯曲機能の関係  を、実技デモや多くの動画を用いて、分かりやすく説明します。   ※当研修会(講演会)は「専門理学療法士」認証ポイントを取得することが    できます。  ◇ 開催期日    福岡:2011年12月 3日〜 4日 麻生リハビリテーション大学校 ※満席    豊橋:2012年 2月19日    豊橋整形外科向山クリニック    米子:2012年 3月 3日〜 4日 社会医療法人仁厚会 米子東病院    宮崎:2012年 3月10日〜11日 宮崎リハビリテーション学院    長岡:2012年 4月14日〜15日 長岡市立劇場  ◇ 内容の詳細・お申し込みはホームページで!      http://www.koko-kara.info/kensyukai/    ☆ お申し込みは携帯電話からも可能です。     http://www.koko-kara.info/i/ ───────────────────────────────────          ■ 求む! 特別研修会 地域世話人 ■ ───────────────────────────────────   この度、「心と体のリハビリテーション研究会」では、「姿勢制御アプロ  ーチ」講演会にご参加いただいたみなさまからのご希望により、ご要望に応  じた「特別研修会」を実施することになりました。   その第1弾となる「Spine Dynamics療法福岡特別研修会」をはじめ、豊橋、  米子、宮崎で開催いたします。   そこで、研究会事務局では、上記地区の研修会と同じような企画をしてい  ただける地域世話人を募集いたします。   地域世話人募集に関する詳細はホームページをご覧ください。   http://www.koko-kara.info/kensyukai/sewanin.html    ───────────────────────────────────            ■ 編集担当者からの一言 ■ ───────────────────────────────────   今月号では、CRPSについて掲載させていただきました。   近年、痛みに対する文献なども多くなっており、新しい知見が見出されて  きています。今まで不可解な痛みと解釈されてきたものが、理論上、説明の  できる痛みとして判定されるようになってきました。   慢性疼痛患者やCRPS患者の痛みを、単に不定愁訴として捉えるのは、セラ  ピストのエゴであり、気づかずリハビリをすることは最大のリスクではない  かと思います。裏を返せば、セラピストが適切な評価をし、痛みの根源を導  き出すことにより、特化できる部分でもあるのではないでしょうか。 **********************************************************************      − 最後までお読みいただきありがとうございました − 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信  を希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。   ※バックナンバーはホームページに掲載しています。    今後,このようなメールの配信が不要な方は、お手数をおかけしますが、  タイトル欄に「配信不要」とご記入の上、返信してください。  また、アドレスの変更等がございましたら、その旨ご連絡ください。       発 行 : 心と体のリハビリテーション研究会       e-mail : info@koko-kara.info       URL : http://www.koko-kara.info/ *********************************************************************